今日という日に、
愛し合う者たちに『幸福』が舞い降りることを祈って……





聖ヴァレンティヌスに冥福を……





もともと聖バレンタインデーは、
聖ヴァレンティヌスが捕らえられ、処刑されたとされた日に由来する。

ローマ帝国皇帝クラウディウス2世が、愛する人を故郷に残した兵士がいると士気が下がるという理由でローマでの兵士の婚姻を禁止したのだが、あるローマ兵士とその恋人を哀れに思ったキリスト教司祭だった聖ヴァレンティヌスが二人を秘密裏に結婚させたが、それが原因で捕らえられ、処刑された。
それのことから、
この日はキリスト教徒たちにより祭日となり、恋人たちの日となったというのが一般的な話だ。




そんな話をしながら、
ルルーシュとシュナイゼルはテラスに置かれたテーブルセットに向かい合って座りながらお茶をしていた。
シュナイゼルの前には、バレンタインだからとルルーシュが手作りしたガトーショコラが置かれている。
ルルーシュがシュナイゼルのために作った、甘さ控え目のガトーショコラだ。

もし、
先ほどのバレンタインデーの話題を出してきたのがシュナイゼルなら、全くムードの読めない男と冷たい目で見られるのだが、意外にもその話題を出してきたのはルルーシュなのであった。

「そういう話ではあるけど、どうしたんだいいきなり?」

そう言ってルルーシュへと問いかけてくるシュナイゼルに対し、彼女は柔らかい微笑みを絶やさないまま話しを続けた。

「いえ。一見残酷で怖いようにも思える話ですけど、なかなかロマンチックだと思いません? 聖ヴァレンティヌスはその恋人達のために命を落としましたが、その御蔭で今日という日には世界中の恋人たちが愛を確かめあうのですよ」

『きっと、聖ヴァレンティヌスも浮かばれるどころかご満悦でしょうね』と微笑む姿に、シュナイゼルは苦笑する。

もともと彼女は現実的な思考の持ち主であまりロマンチックな考えをするようには見えないのだが、実は結構夢見がちな部分がある。

今回の話も何か裏や皮肉があるわけではなく、本心から言っているのだと長い付き合いのシュナイゼルにはわかった。

「相変わらず、君は可愛らしい考えをするね」
「そうでしょうか?」

そう言って首を傾げるルルーシュに、微笑みを深くする。
彼女らしい考えとその姿を可愛いと思いながら、シュナイゼルは彼女の横へと席を移動する。

「それじゃぁ、そんな日なのだから今日は一日中君と過ごすことにするよ」

『愛を確かめあうためにね』と、
そういったシュナイゼルはルルーシュの唇へと己のそれを重ねた。
しばらくして離れたキスに頬を真っ赤に染めながら、ルルーシュは幸せそうに笑いシュナイゼルへと寄りかかった。


今しばらくは、
執務室に残してきた大量の仕事のことを忘れながら……











ルルは結構ロマンチックだと思います。
だってルルだから〜(←理由になってない)

聖バレンタインデーの話は、
俺のうる覚えの知識です……。