台所を満たすのは“カシャカシャ”と響く泡だて器の音と、甘いチョコレートの匂い。
可愛らしいエプロンを付け明日と迫ったバレンタインデーのために、綱吉は一生懸命にお菓子作りへと勤しんでいた。
作るのは大人の甘さのトリュフチョコレート。
あげる人は勿論、綱吉の大好きなあの人だった……。
甘さ控えめのチョコと甘過ぎる君
次の日、珍しく早起きした綱吉は昨日作っておいたチョコを冷蔵庫から取り出した。
他の事はダメダメな綱吉だが料理は母親譲りの為かなかなか得意であり、今回作ったトリュフも市販のものに劣らないものが出来上がった。
それを確認すると、用意しておいたリボンや包み紙などの材料で可愛らしくチョコをラッピングすると、それを大事そうに鞄にしまい学校へと向かうのだった。
「おはよう、ツナちゃん」
「おはよう、ツナ」
綱吉が学校へ着くと、親友である京子と花の二人が綱吉へと近づいてきた。
教室の中は今日がバレンタインデーということもあり、少しだけいつもと違いどこかザワザワした雰囲気に包まれていた。
「おはよう。京子ちゃん、花」
「はい、これツナちゃんへの友チョコ」
「こっちはあたしから」
そう言って二人が差し出したのは、それぞれに可愛らしくラッピングされた袋だった。
「うわぁ、ありがとう///」
そう言って受け取ると、綱吉も鞄の中から二つ袋を取り出した。
昨日、あの人へと渡すチョコとは別に作ってラッピングした友チョコ用の袋だ。
それを二人に渡すと、二人も綱吉にお礼を言って受け取った。
ちょうどその時、
教室のスピーカーからあの人の声が響いた。
『2−A、沢田綱吉。今すぐ応接室へ』
そう云って切れた放送を聞くと、綱吉は鞄の中のチョコを掴むとすぐに応接室へと走った。
後ろから聞こえてくる、友人らの応援を背にして。
「頑張ってね!! ツナちゃん!!」
「ちゃんと渡すのよ!!」
応接室の前に着くと、綱吉は自分の制服を整え一度大きく深呼吸すると、ドアをノックした。
すぐに、あの人の声がする。
「入っておいで、綱吉」
「し、失礼します!!」
中へ入るとドアのすぐ近くに雲雀の姿があった。
綱吉のことを待っていたのだろう、雲雀は綱吉の手を取ると部屋の中央にあるソファーへ座らせ、自分もその横へと腰を下ろした。
自分の隣に座った雲雀を見て、周りに自分と雲雀以外いないことを確認すると、綱吉は覚悟を決めると持っていた袋を雲雀へと差し出した。
「あ、あの雲雀さん、これ///」
綱吉から差し出された袋に、雲雀は顔を綻ばせた。
「ありがとう、綱吉」
「ど、どういたしまして////」
「さっそくで悪いんだけど、食べていい?」
「あ、はいっ!!////」
そう言って雲雀は袋のラッピングを解くと、中から一つトリュフを取り出して口へと運んだ。
口に入れた瞬間、広がる控え目な甘さに綱吉が自分のこと考えて作ってくれたことが分かった雲雀は一層微笑みを深くした。
「あの、味大丈夫ですか?」
「うん。すごく美味しいよ」
そう言って雲雀はもう一粒つかむと、綱吉の口の中へとそれを放り込んだ。
いきなりのことに少し驚くが、すぐにチョコの甘さに笑顔になる。
「ほら、美味しいでしょ?」
そう言うと、しばらくはチョコを美味しそうに食べている綱吉を見ていていた雲雀だが、いきなり綱吉の顎を掴むとそっと顔を上げさせそのまま綱吉の唇に己のそれを重ねた。
「!!!!○♂▼△♀◆□☆×//////」
綱吉が驚いて雲雀から離れようと押し返すが、手で頭と腰をしっかりと固定され身動きが取れない。
「ふ、ぅ…っ、んっ…ふぅ…」
そうしているうちに、段々と口付けは深いものへと変わっていく。
段々と思考が溶けていき限界へと近づく。
そうしてしばらく続いたキスは、綱吉がそろそろ限界がくるというところでやっと雲雀の唇が離れていった。
「ハァ、ハァ……、もう!!いきなり何するんですか!!」
「だって、あんまりにも美味しそうだったんだもん。君が」
「!!!!////////」
「やっぱり君は可愛いね。それに甘い」
そう言うと雲雀は綱吉を抱きしめ、そっと綱吉の耳へと唇を近付けて囁いた。
『チョコレートありがとう、綱吉。愛してるよ』
駄文な上に、雲雀最後の方しか出てない……
ついでに、
雲雀さんは綱吉からチョコが貰いたいために、
バレンタインデーはお菓子の持ち込み可にしてます。(笑